「3日入れば3年風邪をひかない」
神秘的な乳白色の湯
信州・松本市内の西側に広がる北アルプスのひとつ、乗鞍岳。その東側山腹、標高1400m地点に湧き出ているのが白骨温泉です。湯川渓谷や樹林など美しい自然を肌で感じることができます。600年以上の歴史をもち、鎌倉時代にはすでに湧出していたと伝えられている白骨温泉。当時は温泉の成分が湯船に付着して白く凝固したことから「白船温泉」という名がつけられたといわれています。その後、大正2(1913)年に中里介山が小説『大菩薩峠』内で「五彩絢爛たる絶景」と褒め称えるとともに、白船に“白骨”の字を当てて登場させたことから、以来その名が全国的に広まり、通称となったようです。温泉の成分には硫黄と炭酸が多く含まれ、冬の厳しい寒さでも、湯に浸かれば身体を芯から温めてくれます。慢性疲労や呼吸疾患にも期待できる高い効能をもつため、「3日入れば3年風邪をひかない」とも言い伝えられています。周辺の乗鞍高原では、春は山菜が採れたり池に水芭蕉が咲き出したりと、春の訪れを感じられるスポットも満載です。
文/清水由香利(RUNS)
- 泉質/
- 単純硫化水素泉(含硫黄、カルシウム、マグネシウム、炭酸水素塩泉)
- 効能/
- 慢性疲労、呼吸疾患、美肌効果など
硫黄の香り漂う湯に浸かる
小梨の湯 笹屋
白樺の原生林に囲まれた宿。温泉は、貸切露天風呂のほかに開放的な半露天風呂の内湯があります。白骨温泉のなかでも特に硫黄の香りが強く、硫黄の温泉好きにも好評です。客室は全10室で、数寄屋造りの部屋、古民家を移築再生した部屋、重厚な造りの特別室、格調高い離れなどから選べます。料理は信州牛や岩魚、高原野菜などの地元食材を使った和食創作料理。3時間かけて蒸した岩魚の笹巻きや、そば粉100%で練り上げるそばがきが名物です。朝食に出される温泉で炊いた温泉粥もぜひ。
住所/〒390-1515 長野県松本市安曇4182-1
電話/0263-93-2132
たどり着く渓谷沿いの宿
つり橋の宿 山水観 湯川荘
湯川渓谷沿いに位置する温泉宿で、木製の吊り橋を渡って入るところに風情を感じます。趣の異なる3つの露天風呂があり、すべて貸切で24時間入浴が可能。内湯の湯船は木曽の椹(さわら)材を使用しており、長年の温泉成分が堆積して白骨温泉らしいぼこぼこした模様のある湯船に浸かることができます。料理は温泉水とブラウンスイス牛の牛乳、信州みそで作った乳白色鍋が自慢の一品。春は山菜を使った料理も味わえます。朝には玄関ラウンジで湧水を使って淹れたコーヒーのサービスも。
住所/〒390-1515 長野県松本市安曇白骨温泉4196
電話/0263-93-2226